傷害慰謝料の算定方法⑷(長期かつ不規則の通院)
2016/01/21
呉市で弁護士をしております,田奧です。
まずは,おさらいです。
傷害慰謝料の算定の際の要素となるのは,基本的には「総治療期間から入院期間を控除した期間」と「入院期間」でしたね。
そして,治療の期間が長期かつ不規則であれば,「総治療期間から入院期間を控除した期間」の代わりに,「通院実日数の3.5倍の日数」が傷害慰謝料算定の要素となるのでした。
それでは,どのくらいの期間通院したら長期で,そのくらいの通院頻度であれば不規則なのでしょうか。
これは,「赤い本」には書いてありませんが,「青本」に書いてあるのです。
「赤い本」と「青本」は,基本的には裁判所の損害算定基準を本にしたものでした。ただし,「青本」は,地方と東京の物価の差を考慮できるように,幅のある記載がしてあります。
慰謝料算定の際に通院期間をどう算定するかという問題において,物価の差を考慮する必要がないように思います。そのため,この場合,「青本」の記載がそのまま妥当すると考えます。
「青本」には,「通院が1年以上にわたり,かつ通院頻度が月2~3回程度の割合にも達しない場合」,あるいは「治療というよりは治癒経過の観察的色彩が強い場合」に「通院実日数×3.5の日数」が修正通院期間になる,とあるのです。
しっかり治療をしてしっかり怪我を直し,適切な損害賠償請求をしたいですね。