利き腕でない手の親指が用廃とされた事案
2018/01/17
呉市で交通事故被害の解決に注力する弁護士の田奧です。
今日は,利き腕でない手の親指が用廃(可動域が半分になった)事案についてご紹介します。
【ケース】
この方は,バイクで優先道路の交差点を直進していたところ,右化側から右折しようとしていた相手方のバイクに衝突されました。
【当事務所の対応】
事故後間もない時に受任しました。
重篤な怪我を負われていたため,少しでも症状が改善するように,できるだけ長い間通院してリハビリができるよう保険会社と交渉しました。
症状固定後は,満を持して被害者請求をし,左手親指の可動域制限が1/2以上制限されているとして後遺障害認定等級10級7号と認定されました。
10級7号といえば,労働能力喪失率は27%です。
被害者にとって,左手の親指が動かないことは,悔しくて悲しくてたまらないことです。しかし,事務職の労働者が左手の親指が使えなくなったとして,仕事の約3割ができなくなるでしょうか。この方も,事故前後で減収はありませんでした。
こういう場合,減収がないことが事故とは関係のない特別の努力によるものであるという主張をするのですが,そもそも業務上左手の親指が必要な作業があまりありません。
そこで,普段どのような仕事をしているか,事故後どのようなことが不便に感じるかということを一つ一つ拾い上げ,詳細にまとめた陳述書を作って交渉しました。
【結果】
交渉の結果,逸失利益だけで約550万円を獲得しました。
最終的には,治療費を除いた獲得金額約1060万円で示談をしました。
【ポイント】
仕事の大きな支障のないような後遺障害でも,小さな不都合は数えきれないほどあります。それを一つ一つ丁寧に積み上げていけば,逸失利益の主張に説得力が出て,結果として適切な損害賠償が可能となります。