当初は後遺障害申請の意向がなかったが,申請してみると後遺障害認定等級12級と認定された事案|たおく法律事務所
2021/09/29
呉市で交通事故被害の救済に注力する弁護士の田奧です。
今回は,被害者自身は後遺障害に該当しないと考えていたが,医師に後遺障害診断書の作成を依頼して被害者請求の方法で後遺障害の申請をしたところ,後遺障害認定等級12級7号と認定され,裁判所の基準で示談をした事案を紹介します。
【ケース】
被害者は,原付を運転して離合可能な単線道を直進中,対向から右折して路外に出ようとした加害車両にはねられました。被害者に,25キロ以上の速度超過がある事案でした。
被害者は,左足首の骨折の傷病を負い,中核病院に入院してギプス固定をし,1週間程度で退院し,一か月後にギプスを外してクリニックでリハビリを開始しました。
【当事務所の対応】
当事務所は,事故のリハビリが開始したころから受任しました。
まず,刑事記録を取り付けて物損の示談をしました。
被害者は,事故後6カ月が経過したころに,医師から症状固定の診断を受けました。
医師は,最後の診察の際,特に後遺障害の話をしませんでした。
当職は,被害者に対し,受傷の内容からすると後遺障害が残ってもおかしくないが,左足首の可動域制限はないか確認しました。
被害者本人の感覚では,90%は動くという回答でした。
その後,当職は,最後の診断書を確認したところ,左足首の可動域は,右足首の3/4以下に制限されているのではないかと疑念を抱きました。
そこで,病院に再診の予約をし,弁護士立ち合いの上で後遺障害診断をしてもらい,後遺障害診断書を作成してもらいました。
当職は,被害者請求の形で後遺障害の申請をしました。
【結果】
後遺障害申請の結果,足首の可動域制限が認められ,後遺障害認定等級12級7号と認定されました。
当職は,加害者の保険会社と示談の交渉をし,裁判所の基準で示談をしました。
被害者の獲得金額は,治療費等を除いて1000万円弱になりました。
仮に後遺障害の申請をしておらず,傷害部分のみを自賠責の基準で計算すると,50万円程度にしかならない事案でした。
【ポイント】
弁護士に委任すれば,本来認定されるはずの後遺障害が認定されないという事態を,回避することができる場合があります。
その場合,治療費等を除いた獲得額は,金額にして950万円,倍率にして20倍の差が出ることがあります。