死亡事故の損害賠償請求~労働者の逸失利益~|たおく法律事務所
2022/07/07
呉市で交通事故被害の救済に注力する弁護士の田奧です。
今日は、交通事故で労働者が亡くなった時、将来にわたって受け取ることができなくなった収入(逸失利益と言います)についての損害を、どのように計算すべきかについてお話しします。
【問題の所在】
交通事故で労働者が亡くなった場合、その人の収入で生計を立てていた家族等は、経済的に困窮しかねません。
そこで、交通事故で労働者が亡くなった場合、被害者が将来にわたって受け取ることができたはずの収入(逸失利益)を、加害者に対して損害賠償請求できます。
その計算はどのようにするのでしょうか。
【回答】
逸失利益算定に際しては、まず、基礎年収額を確定します。
基本的には、労働者として稼働した単年度の総収入額です。源泉徴収票に記載されている総収入額です。
次に、いつまで就労できたかを確定します。基本的には、67歳までとなります。
基礎年収額と、年収が失われた期間が確定すれば、あとは掛け算すればいいじゃないかと思われるかもしれません。
しかしながら、30年後の1000万円と、今貰える1000万円では、値打ちが違います。
そこで、法定利率(年3%)に従って中間利息を控除します。
具体的には、年収が失われた期間に対応した、ライプニッツ係数という係数をかけることになります。
最後に、生活費として費消するはずであった割合を控除します。
生活費控除率は、一家の支柱で被扶養者が一人の場合は40%、二人以上の場合であれば30%と言われています。
まとめると、労働者の逸失利益は、次の計算式で計算できます。
基礎年収×就労可能期間に対応したライプニッツ係数×(1-生活費控除率)
自賠責保険の基準でも、生活費控除率の認定率が異なりますが、概ね同じ計算式になります。
しかしながら、自賠責保険金は、葬儀費用、死亡慰謝料及び死亡逸失利益等を合わせて3,000万円が上限になります。
そのため、自分で保険会社と交渉する場合、死亡逸失利益を満額獲得できない場合があります。
弁護士に委任すれば、自賠責の上限を超える部分についても、適切な損害賠償請求をすることができます。
【ポイント】
労働者が死亡事故で亡くなった時、遺族は、死亡した被害者の逸失利益を損害賠償請求することができます。
弁護士に委任することで、自賠責の上限を超える部分についても、加害者やその任意保険会社に、死亡逸失利益等の損害賠償請求をすることができます。