死亡事故の損害賠償請求~主婦の逸失利益~|たおく法律事務所
2022/07/11
呉市で交通事故被害の救済に注力する弁護士の田奧です。
今日は、交通事故で主婦・主夫等の家事従事者がなくなった場合の、将来家事をできたはずなのにできなくなったという損害(逸失利益)について、お話します。
【問題の所在】
交通事故で、主婦・主夫等の家事従事者が亡くなった場合、家事で家族を支えていた縁の下の力持ちを失うことになります。
遺族の悲しみは計り知れず、今後の生活も大きく変わることになります。
そこで、被害者本人や遺族の慰謝料のほかに、失われた家事従事を経済的に評価した逸失利益を、損害として賠償請求をすることができます。
主婦といっても、専業主婦もいれば、兼業主婦もいます。
将来の損害を、まとめてもらうことができるのでしょうか。
また、被害者の死亡によって、生活費として費消するはずであった費用を免れています。
主婦の逸失利益の計算方法は、どのようにするのでしょうか。
【回答】
まず、被害者が専業主婦の場合、死亡事故の逸失利益の算定に際し、基礎となる年収は、全年齢・学歴計・女性平均賃金として設定します。
被害者が兼業主婦の場合、死亡事故の逸失利益の算定に際し、基礎となる年収は、労働者としての年収と主婦としてのみなし年収(平均賃金)を比較して、高額の方として設定します。
逸失利益算定の期間(就労可能期間)は、67歳までの期間と、平均余命の半分の期間を比較して長い方になります。
就労可能期間分の主婦逸失利益を、示談時に払ってもらうことができます。
しかしながら、10年後の1000万円よりも、現在の1000万円の方が値打ちがあるので、法定利率(年3パーセント)の割合の中間利息を差し引くことになります。
具体的には、基礎年収に就労可能期間をかける代わりに、就労可能期間に対応したライプニッツ係数をかけることになります。
また、生活費控除率は、赤い本によれば女性は30%とされてるので、これに従うことになると考えられます。
まとめると、主婦・主夫等の逸失利益は、
全年齢・学歴計・女性平均賃金×就労可能年数のライプニッツ係数×生活費控除率(1-0.3)
で算出されることになります。
自賠責の基準でも、基本的には同様です。
しかしながら、自賠責の基準では、被害者が59歳以上の場合、基礎年収を全年齢の平均賃金に寄らず、年齢相当の平均賃金によることになります。
また、自賠責の基準では、葬儀費用、死亡慰謝料、死亡逸失利益等の死亡損害金合計の上限が3000万円と設定されています。
そのため、主婦・主夫等の家事従事者の死亡事故でも、自分ので交渉する場合、逸失利益等の損害賠償金を適切に受給することができない場合があります。
弁護士に委任すれば、3000万円の上限を超える部分の損害がある場合も、賠償請求することができます。
【ポイント】
主婦や主夫等の家事従事者が、交通事故で死亡した場合も、慰謝料のほかに逸失利益を請求できます。
弁護士に委任することで、慰謝料、葬儀費用、主婦としての逸失利益等の死亡損害金を適切な金額請求することができます。