損害賠償の基準⑴
2015/10/29
呉市で弁護士をしております,田奧です。
今日は交通事故による損害賠償額を算定するための基準についてお話します。
交通事故で怪我をして,診断書と一緒に警察に届けたら,いくらかは分からないですが必ずいくらかの損害賠償請求が認められます。
では,なぜ「いくらか」などという曖昧な言い方をするのでしょう。
それは,交通事故による損害賠償額を算定するための基準が3つあるからなのです。
一つ目は裁判所基準,二つ目は任意保険会社の基準,三つ目は自賠責基準です。
自賠責保険というのは,車を運転する人が強制的に加入させられてお金を集め,事故のときに被害者に保険金を給付する制度です。
強制的に加入する関係上,損害の全額は払ってもらえません。
それだと,車を運転する人は,安心できません。そこで,任意保険に加入し,もしも自分が事故加害者になってしまったときに備えます。
任意保険は,対人対物は,完全損害賠償がされています。安心ですね。
でも,事故被害者にとっては,安心ではないのです。
なぜなら,任意保険会社は,各社が独自の損害賠償額を算定するための基準を持っており,その基準によると裁判をしたときに払われる損害額よりも少なくなるからです。
裁判所の基準で示談をしたり,判決を勝ち取れるのが,弁護士に委任するメリットの一つと言えますね。
次回は,裁判所基準についてもう少し掘り下げたいと思います。