後遺障害となる骨盤骨折とならない骨盤骨折
2015/07/09
骨盤の形をイメージできますか。両手で一つの輪っかを作ってみてください。
左右の親指のつながり部分が背中側,その他の指の部分がお腹側としましょう。
親指のところに,背骨と骨盤の結合部分である仙腸関節があります。
その他の指のところに,左右の骨の結合部分である恥骨結合部があります。
左右の手のひらの下のところに,太ももの骨(大腿骨)と骨盤の結合部分である寛骨臼があります。
バイク事故等により,左右いずれかの大腿骨から寛骨臼を押し上げる外力が働くことがあります。
これにより,左右の骨盤が上下にずれ,仙腸関節脱臼,恥骨結合部離開が生じることがあります。恥骨結合部が上下に2ミリずれると,病的所見ともいわれます。
これにとどまらず,寛骨臼自体が損傷することもあります。これを寛骨臼骨折といいます。
このような傷病が発生したとき,股関節の可動範囲が制限されることがあります。可動範囲が3/4以下に制限されると,12級7号の後遺障害に該当します。
その他の骨盤骨折の類型として,骨盤輪骨折があります。骨盤輪骨折は,わかりやすくいえば輪っかが欠ける骨折です。
骨盤輪骨折は,関節の可動域制限を生じることは少なく,骨盤に著しい変形を残す場合や,神経症状が残っている場合を除いて後遺障害には該当しないことが多いです。
いずれにしても,後遺障害等級の認定取得に向けて,早期に資料を集めておいた方が良いでしょう。