病院と交渉して後遺障害認定等級10級7号を取得した事案
2018/05/15
呉市で交通事故被害の解決に注力する弁護士の田奧です。
今日は,左拇指MP関節掌側板損傷,同関節内遊離体という傷害により,左母指の用廃という後遺障害が残った事案について紹介します。この案件は,病院が診断書に誤記載をしており,訂正するように交渉を要した案件です。
【ケース】
この方は,バイクを運転して片側一車線の道を走行していたところ,対向から右折で路外に出ようとした加害車両に進路を塞がれ,衝突して転倒し,傷害を負いました。
【当事務所の対応】
後遺障害診断書を作成する段階から受任しました。この当時,病院がMRIの装置を交換中であり,病院がMRIの撮影に非協力的でした。当事務所は,MRIの撮影が必須と考え,他の病院宛に紹介状を書いてもらい,MRIを撮影してもらいました。
その後,後遺障害の診断を受けました。ところが,後遺障害診断書上,母指の可動域の健側と患側が反対になっており,可動域の+と-も反対になっていました。当事務所は,この記載は明らかな誤記であるので,病院に対して訂正を求めました。その結果,後遺障害診断書の誤記は訂正されました。その後,毎月の経過診断書を取得したところ,この診断書にも,母指可動域について訂正前の誤記がされていました。当事務所は,後遺障害診断書に誤記があり訂正してもらったという経緯をもう一度説明し,経過診断書も訂正してもらいました。
これらの証拠をそろえた上で,自賠責に対し被害者請求をして,後遺障害の認定申請をしました。その結果,左母指の用廃が認められ,後遺障害認定等級10級7号と認定されました。
【結果】
その後,相手方の任意保険会社と交渉し,左母指の用廃が業務に支障をきたしている旨を説明し,治療費を除いて3000万円弱の金額で示談をしました。
【ポイント】
医師は,医学の専門家であるのでその医学的意見は絶対ですが,明らかな誤記については,訂正の交渉をしないと本来認定されるべき後遺障害が認定されない場合があります。