自賠基準での提示後に裁判所基準で示談した事案
2018/02/16
呉市で交通事故被害の解決に注力する弁護士の田奧です。
今日は,左股関節の可動域制限という後遺障害が残り,保険会社から自賠基準での提示を受け,結果的には裁判所の基準で示談をした案件を紹介します。
【ケース】
この方は,横断歩道を青信号で横断していたところ,対向から右折してきた相手方車にはねられました。
【当事務所の対応】
事前認定により左股関節の可動域制限(後遺障害認定等級12級7号)が認定され,保険会社から損害額の提示が出された後に受任しました。
当初,相手方保険会社が提示していた損害額は,傷害慰謝料,休業損害,後遺障害慰謝料及び後遺障害逸失利益の全てがほぼ自賠責基準で算出されていました。自賠責の基準というのは損害全額の計算をするための基準ではないのですが,自賠責の基準で計算された金額を損害全額として提示されていました。
また,被害者は高齢の方だったのですが,就労可能期間を過少に評価されており,後遺障害逸失利益が過少に認定されていました。
そこで,全面的に各損害項目の損害額を見直し,裁判所の基準で損害額を計算し,相手方に提示しました。
【結果】
当初は治療費を除いて370万円程度の提示だったのですが,増額交渉の結果,治療費を除いて810万円を支払ってもらうという示談が成立しました。
【ポイント】
自賠責の基準で計算した損害額の示談をすると,本来の損害額よりもかなり低額の示談をしてしまう可能性があります。大きな後遺障害が残るような事案では,その傾向が顕著に現れます。