主婦休業損害の計算方法③~高齢者の場合~|たおく法律事務所
2022/03/11
呉市で交通事故被害の救済に注力する弁護士の田奧です。
今日も、主婦休業損害の算定方法及びその際に留意することについてお話しします。
今回は、特に、高齢者の場合についてお話しします。
【問題の所在】
主婦と一口にいっても、夫婦だけの主婦、小さい子どもだけの家庭の主婦、大きい子どものいる家庭の主婦、二世帯が同居している家庭の主婦、高齢者だけの家庭の主婦、老々介護をしている家庭の主婦など、さまざまな場合があります。
小さい子どもがいる家庭の主婦と、子どもが成人して家を出てしまった家庭の主婦では、家事の内容に差があるような気がします。
このように、高齢の主婦の休業が問題になった時、主婦休業損害の算定は、どのように行うのでしょうか。
【回答】
この点について、裁判例の多くは、高齢者の主婦の休業損害を算定する際には、基礎となる日額を、
「全年齢・学歴計女性の平均賃金」ではなく、
「対象者の年齢の学歴計の平均賃金」、で計算する場合が多いようです。
しかしながら、主婦休業損害の基礎となる日額算定において「全年齢・学歴計女性の平均賃金」を用いる理由の一つに、主婦の仕事は、年齢や学歴によって大きく変わらないというものがあったはずです。
それにもかかわらず、高齢者の場合だけ、高齢者の平均賃金とするというのは、理論が一貫していません。
また、老々介護の家庭の場合、主婦には、家事と介護の両方の仕事があります。
その仕事の内容は、食事・着替え・入浴・排泄の介助など、小さい子どものお世話よりも大変になることもあります。
そこで、高齢者の主婦の場合でも、仕事の内容に応じて、主婦休業損害の基礎日額についての主張をしていくことになります。
ただし、このハードルは意外と高く、「全年齢・学歴計の女性の平均賃金の0.9掛けの金額」を基礎日額とするというところで折り合いをつけざるを得ない場合もあります。
休業日は、実通院日か、総治療期間の半分程度となるのは、一般の専業主婦の場合と同じです。
【ポイント】
高齢者の主婦休業が問題になる場合、高齢であるというだけで家事休業損害金を割り引かれる傾向にありますが、弁護士に委任することで、実際の家事の内容に応じた金額の家事休業損害金を請求できる場合があります。