死亡事故の損害賠償請求~年金の逸失利益①~|たおく法律事務所
2022/07/19
呉市で交通事故被害の救済に注力する弁護士の田奧です。
今日は、交通事故で年金受給者が亡くなったとき、将来にわたって受給できるはずだった年金の逸失利益についてお話しします。
【問題の所在】
年金を受給中の方が、交通事故で無くなった場合、将来にわたって受給できるはずだった年金を受給できなくなります。
この受給できたはずなのに受給できなくなった年金を、加害者に対して、逸失利益として請求できるのでしょうか。
【回答】
年金受給者が交通事故で亡くなった場合、将来にわたって実際に減収が生じています。
したがって、当然、年金部分の逸失利益が認められます。
逸失利益算定の基礎となる金額は、基本的には、年金証書記載の金額になります。
収入の喪失期間は、平均余命の期間となります。
ただし、10年後の100万円より現在の100万円の方が値打ちがあるので、法定利率(年3%)に従った中間利息を差し引く必要があります。
具体的には、基礎となる金額に平均余命期間をかける代わりに、平均余命の期間に対応したライプニッツ係数をかけることになります。
最後に、年金の生活費割合を控除します。
年金の生活費割合は、給与収入よりも若干高くなります。50パーセント程度になることが多いです。
以上まとめると、年金受給者の年金部分の逸失利益の計算方法は、
年金証書に記載された金額×平均余命の期間に対応したライプニッツ係数×(1-0.5)
で算出されることになります。
自賠責の基準では、年金の逸失利益②で述べるとおり、年金を受給しながら労働者や主婦として労働している場合に、満額の逸失利益を受給することができなくなる場合が多いです。
【ポイント】
年金受給者が交通事故で亡くなった場合、年金部分についても逸失利益を請求することができます。
弁護士に委任することで、労働をしながら年金を受給していた場合なとにも、適切な逸失利益を請求することができます。