むち打ちを発症して後遺障害14級9号と認定されるには,どうすればよいか|たおく法律事務所
2021/06/01
呉市で交通事故被害の救済に注力する弁護士の田奧です。今日は,むち打ちを発症した場合に,後遺障害14級9号と認定されるためには,どのような事情があれば有利なのかをお話します。
【問題の所在】
重度の追突事故等により,頸部を大きく前後に振られると,頸の痛みと手指の痺れ等の症状を発症することがあります。
こういったむち打ちの症状も,重度であれば,後遺障害認定等級14級9号と認定される場合があります。
頸部ヘルニアによる手指の痺れの症状が典型的な例とされています。
それでは,どうすれば,後遺障害認定等級14級9号と認定されるのでしょうか。
まず,前提として,ヘルニアが生じてもおかしくないほどの大きな事故で,実際にヘルニアが生じていて,手指にしびれがあることが大前提です。
このように話すと,当たり前じゃないか,と思われる方も多いと思います。
しかしながら,本来であれば14級9号に認定されてもおかしくない方が,非該当になっている例は,実際に存在します。
どうすれば,適切な後遺障害の認定等級を獲得できるのでしょうか。
【対処法】
まず,一番基本的で,重要なことは,事故直後の時点で,医師に自覚症状を正しく伝え,カルテに書いてもらうことです。
そして,症状に適合した治療を最短6か月受けることが大前提になります。
しびれの症状があることを伝えれば,医師は,神経学的な検査をしてくださることが多いです。
神経学的な検査とは,徒手筋力テスト,深部腱反射テスト,スパーリングテストないしジャクソンテスト,そして,MRI検査です。
これらの検査のうち,深部腱反射テストやMRI検査は,恣意性がないのでより重要な検査であると言えます。
事故直後から,一貫して手指のしびれの症状の訴えがあり,MRI画像上その領域を支配している神経根が圧迫されていて,事故直後と症状固定時にあらゆる神経学的検査で陽性の結果が出ている場合,より重度の12級13号が認められやすいです。
そこまで重症でなくとも,事故直後から一貫してしびれの症状の訴えがあり,MRI画像上何らかの異常があり,深部腱反射テストで何等かの異常があれば,14級9号が認定される可能性があります。
当事務所では,依頼者が,頸部や腰部のむち打ちによる手指や足のしびれを訴えている場合,上記の神経学的な検査を受けるようにアドバイスしています。
早期に受任していれば,依頼者に対して,より早期に検査を受けるように伝えることができます。
また,後遺障害の申請時には,医師の行った検査結果を余すことなく用いて,後遺障害認定等級14級9号がより認定されやすいように活動することができます。
【ポイント】
むち打ち症で後遺障害14級9号を受けるうえで何よりも大事なことは,事故直後に医師に症状を伝えて,頸部ヘルニアであることを疑ってもらうことです。
そうすれば,適宜検査を行っていただけることが多いです。
万一,症状を伝えたのに検査を行ってもらえないようなら,自分から検査をお願いしましょう。
それでもだめなら,紹介状を書いてもらって転院することも視野に入れた方がいいかもしれません。
ただ,医師が症状の訴えの内容に疑問を持つと,積極的に動きにくいケースが散見されます。
やはり,症状を的確に,直ちに伝えることが第一歩となりそうです。
医師に症状を的確に伝えるためにも,早期に弁護士に相談に行き,アドバイスを受けることは有効だと考えます。
また,後遺障害の認定がされた場合,弁護士が交渉するのと,被害者本人が交渉するのでは,示談金額に大きな格差が生じます。
適確な損害賠償を実現するためには,弁護士に委任することが有効です。