死亡事故の損害賠償請求~年金の逸失利益③:支給未開始の場合~|たおく法律事務所
2022/07/25
呉市で交通事故被害の救済に注力する弁護士の田奧です。
今日は、比較的若年の被害者が死亡事故で亡くなり、年金に加入して毎年掛金を支払っていたが年金の支給は未開始であった場合に、年金分の逸失利益を請求できるか否かについてお話します。
【問題の所在】
比較的若年の被害者が死亡事故で亡くなった場合、年金に加入して毎年掛金を支払っていたのであれば、理論上、支給開始年齢から平均余命が尽きるまでの間、年金部分の逸失利益が生じます。
被害者の年金掛け金の実績から、年金受給資格を得ていたのであれば、なおさら逸失利益を請求する必要があります。
このような場合、年金分の逸失利益は請求できるのでしょうか。
【回答】
当事務所の実績からすれば、年金支給未開始年齢の被害者が死亡事故で亡くなった場合も、年金支給開始年齢から平均余命が尽きるまでの間の年金逸失利益は請求できる場合があります。
一年あたりの年金額は、以前は年金事務所で計算してくれていたのですが、最近はしてくれなくなりました。
当事務所では、信頼のおける社会保険労務士に、年金額の計算を依頼しております。
年金支給未開始年齢の被害者が亡くなった場合、被害者は、将来にわたり年金掛け金の支払を免れています。
そこで、掛金を免れた合計額を考慮する必要があります。
任意の示談ができず裁判になった場合には、年金制度の信頼性に疑問があるとして、年金支給開始時点の年金額が減額される場合もあります。
このように、減額の要素も多々ありますが、年金支給開始年齢から平均余命が尽きるまでの間の年金分の逸失利益が認められるか否かによって、損害額の合計は相当程度大きく変動します。
【ポイント】
死亡事故で比較的若年の被害者が亡くなった場合、交通事故に注力する弁護士に依頼することで、年金支給開始年齢から平均余命が尽きるまでの間の年金分の逸失利益を請求することができる場合があります。
他士業と連携している弁護士に委任することで、適切に計算した年金額を基礎として年金分の逸失利益を請求することができます。