他覚所見のない疼痛について、裁判で、慰謝料の増額を獲得した事案
2024/08/20
呉市で交通事故被害の救済に注力する弁護士の田奥です。
今日は、他覚所見のない疼痛について、後遺障害は非該当となったが、裁判で慰謝料の増額を獲得した事案を紹介します。
【ケース】
被害者は、自車を運転して片側一車線の道を直進、右側から赤信号を無視して交差点内に進入してきた加害車両が、自車対向から来た軽トラックの左後方側面に衝突し、軽トラックが反時計回りにスピンして、軽トラックの右後角が自車前部に衝突し、そのまま停止しました。
被害者は、右ひざを強打し、歩行困難になりました。
被害者は、はじめての事故であったこともあり、事故から半月が経過したころ、当事務所に相談しました。
今日紹介するのは、この事故の慰謝料増額の部分です。
【当事務所の対応】
被害者は、事故後、歩行困難になったものの、整形外科でのリハビリの結果、カルテに症状改善と書かれるまでに回復しました。
被害者は、その後、健側の左ひざについても痛みを愁訴するようになりました。
おそらく、右ひざをかばって歩いていたため、左ひざにも症状がでるようになったのでしょう。
被害者は、症状固定の時点では、やはり歩行困難であると愁訴し、被害者請求の形で後遺障害の申請をしました。
自賠責は、他覚所見がないことや、治療の経過から後遺障害非該当の判断を下しました。
被害者は、結果に納得がいかず、裁判で後遺障害を争いました。
【結果】
裁判では、両当事者の主張が尽きた段階で、和解勧試がありました。
和解の内容は、後遺障害は認めない代わりに、右ひざの症状について、慰謝料を増額するというものでした。
被害者は、当職と相談の上、この和解案を受けました。
被害者は、最終的に、治療費等を除いた損害賠償金を193万円程度獲得しました。
被害者が自分で解決していれば、治療費等を除いた損害賠償金の獲得額は60万円余りになる事案でした。
【ポイント】
後遺障害が非該当と認定されても、弁護士に委任して裁判所に提訴することで、慰謝料の増額を獲得できる場合があります。
弁護士に委任することで、損害賠償金の治療費等を除いた獲得額は、金額にして133万円、倍率にして3.2倍程度増額できる場合があります。