裁判所基準で計算した場合と自賠責の基準で計算した場合の損害額の差について(会社員,骨折,傷害部分)|たおく法律事務所
2021/08/04
呉市で交通事故被害の救済に注力する弁護士の田奧です。
今回も,交通事故の損害金の相場が知りたいという声にこたえて,裁判所の基準(弁護士基準)で損害額を計算します。
【問題の所在】
今回は,会社員の方が事故に遭ったと仮定して,傷害部分の損害を計算します。
会社員の方でも,裁判所の基準と自賠責の基準では,損害額に大きな違いが出てきます。
今回は,被害者の属性は会社員(工場勤務),月収(総支給額)30万円,賞与は夏冬合わせて3ヶ月分,年収(総支給額)450万円,脛骨・腓骨骨折して手術のために2か月入院後,12か月間に130日リハビリ通院し,4か月間休業したと仮定します。
【対処法】
弁護士に委任することで,裁判所の基準(弁護士基準)での示談が可能となります。
まず,傷害慰謝料についてですが,裁判所の基準では,211万円になります。
これに対して,被害者が本人で請求する場合は,自賠責の基準で4,300円×190日×2=1,634,000円となります。
休業損害は,裁判所の基準では,30万円×3ヶ月/90日×30日×4か月=120万円となります。
自分で交渉する場合も,会社が休業損害証明書を書いてくれれば,同額の賠償をしてくれることが多いです。
そのほかにも,会社の規則により賞与減額があった場合は,減額分の請求をすることができます。
自分ので交渉をする際には,自分から保険会社の担当者に賞与減額があることを伝えないと,減額分を払ってもらえない事があります。
上記の仮定で損害額を計算した場合,裁判所の基準では,331万円+賞与減額損害金となります。
これに対して,被害者本人が交渉した場合,約280万円+賞与減額損害金となります。ただし,請求漏れの危険があります。
【ポイント】
会社員が交通事故で骨折をした場合,弁護士に依頼した場合と自分で交渉した場合では,傷害部分だけでも獲得損害金の50万円程度の差が出ることがあります。
また,弁護士に依頼する場合,請求する損害項目に漏れが生じる危険を回避することができます。