事故に遭った時の自動車保険の使い分け②~車両保険|たおく法律事務所
2022/12/12
呉市で交通事故被害の救済に注力する弁護士の田奧です。
今日は、交通事故に遭った場合に、車両保険を使用すべき場合と、使用すべきでない場合についてお話しします。
【問題の所在】
車両保険には、保険限度額があります。
したがって、車両保険の保険金額は、修理費用と保険限度額のいずれか少ない方となります。
また、車両保険を使って保険金を受け取ってしまうと、保険料の等級は三等級ダウンします。
交通事故の加害者がいる場合、加害者からは、修理費用と車両時価額のいずれか少ない方の金額(損害額)に、過失割合を乗じた金額を請求できます。
したがって、一般的には、車両保険金額から加害者から回収できる損害額を差し引いた額が、保険料の等級ダウンによる上乗せ保険料額を上回る場合に、車両保保険を使用することになります。
この外に、車両保険を使用した方がいい場合はないのでしょうか。
【回答】
それが、加害者から物損額を回収できる場合でも、車両保険を使用した方がいい場合があります。
それは、自分が100%被害者の場合で、無過失特約が付いている場合です。
特に注意することなく、自分の車両保険に無過失特約が付いていることがたまにあります。
その場合、自分に過失がないのであれば、車両保険を使用すべきといえます。
どんな場合かといいますと、加害者の一方的過失によって事故に遭ったのに、加害者が「お互い動いていたから」などと言って、理不尽にこちらの過失を主張してくることがあります。
そんな場合、自分の保険会社が、無過失と認定してくれれば、車両保険の無過失特約を使用して、示談前に物損全額を回収し、保険料の等級も下がりません。
もっとも、裁判でこちらの過失が認められた場合や、示談する際に自分に一部過失があるという示談をしてしまうと、無過失特約の適用外になって、保険料が三等級ダウンしてしまうので、注意が必要です。
【ポイント】
交通事故被害の救済に注力している弁護士に委任すれば、下記条件を満たすとき、車両保険の無過失特約を使用して、示談や判決をまたずに物損を解決できる場合があります。
条件① 車両保険の無過失特約に付保していること
条件② 相手方が過失を争っているが、あきらかに相手方の一方的過失による事故であること
条件③ 車両保険の使用後に、事件が自分の過失ゼロで解決すること